幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

「そう文句を言うな。
また連れていってやる」

旦那様の言葉で、ふたりはぱっと顔を輝かせた。

「約束ですわ」

「そう、約束ですわ」

「わかった、わかった」

たった一日だったけれど、私も楽しかったからまた行きたいな。
あ、でも、ハニィムーンは二度はないんだろうか。

もちろん裏道を使ったので、山奥にある別荘だったが十分程度で帰り着いた。

「今日はすまなかったな。
明日の朝はゆっくり寝ていていい。
腹が減れば勝手に食べる」

「ありがとうございます、旦那様。
おやすみなさいですわ」

「おやすみなさいですわ」

頭を下げて船津さんたちは自室へと行った。
自分も部屋へ行こうとする旦那様の服を摘まんで止める。

「今日は一緒に寝てはいけませんか」

俯いて小さな声でお願いした。
旦那様からの返事がなかなかない。
やはりはしたなかったかと顔を上げたら、旦那様は目から下を手で覆って顔を逸らしていた。

「……いい」

「えっと」

やっと返事はあったが、小さすぎてよく聞き取れない。

「いいと言っておる!」

「きゃっ!」

いきなり抱き上げられ、慌てて旦那様に抱きつく。