幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

それははまあ、こちらも少し悪いのでいいが、彼こそどうしてここにいるのだろう?

「公通から身体を癒やしてこいと勧められたからだが」

庇うように私を後ろに隠しながら、旦那様が説明する。

「父上から聞いてないぞ!
それにここは綱木の別荘だ!
鬼ごときがいていい場所じゃない!
出ていけ!」

綱木中尉は指で示し、決まったとばかりに得意げな顔をした。

「そちらは浴場ですわ。
お風呂に入れということなのかしら」

「まあ!
今度は私たちの裸を覗くつもりなんですわ」

しかしそちらは玄関ではなく浴場だったので、ひそひそと船津さんたちはどういうことかと相談している。
それを聞いて自分の間違いに気づき、中尉の顔がみるみる真っ赤に染まっていった。

「いいから全員、出ていけー!」

中尉の怒鳴り声が、深夜に響いた。

ばたばたと準備をし、綱木中尉に追い出されたので帰途に就く。

「まだ一日しか滞在しておりませんのに、残念ですわ」

「そうですわ、そうですわ。
せっかく旦那様たちはハニィムーンだったのに」

車の中で船津さんたちはぶつぶつと文句を言っていて、苦笑いしかできない。