「はじめはただ、いい匂いのする涼音を傍に置きたくなったからだった。
けれどそれまでの扱いを知って不憫になり、幸せにしてやりたくなった」
旦那様が同情から私に優しくしてくれているのは知っていた。
それで満足なはずだったのだ。
それがどうしてこんな、旦那様に愛されたいなどと分不相応な高望みをするようになったのだろう。
「笑うようになってからは、可愛くて仕方ない。
もっとやつがれが涼音を笑顔にしたくなった」
旦那様の目が細くなり、優しく私に微笑みかける。
「術をかけたときに誘惑に負けそうになっているやつがれに、食べるのを待てと言ったのは少し驚いた。
涼音ならどうぞお食べくださいと言いそうだし、それまでもそう言っていたのに、待てだぞ?
あの狒々を捕まえるためだとはいえ、少しずつ変わってきているのだなと嬉しかった」
私の手を持ち上げ、旦那様は指先に口づけを落とした。
「大怪我を負ったやつがれに、命じられてもいないのに身を挺して傷を治そうとしてくれた。
こんなに可愛くて頼りがいのある嫁は他にはおらぬ」
旦那様の手が伸びてきて、私をそっと抱きしめる。
けれどそれまでの扱いを知って不憫になり、幸せにしてやりたくなった」
旦那様が同情から私に優しくしてくれているのは知っていた。
それで満足なはずだったのだ。
それがどうしてこんな、旦那様に愛されたいなどと分不相応な高望みをするようになったのだろう。
「笑うようになってからは、可愛くて仕方ない。
もっとやつがれが涼音を笑顔にしたくなった」
旦那様の目が細くなり、優しく私に微笑みかける。
「術をかけたときに誘惑に負けそうになっているやつがれに、食べるのを待てと言ったのは少し驚いた。
涼音ならどうぞお食べくださいと言いそうだし、それまでもそう言っていたのに、待てだぞ?
あの狒々を捕まえるためだとはいえ、少しずつ変わってきているのだなと嬉しかった」
私の手を持ち上げ、旦那様は指先に口づけを落とした。
「大怪我を負ったやつがれに、命じられてもいないのに身を挺して傷を治そうとしてくれた。
こんなに可愛くて頼りがいのある嫁は他にはおらぬ」
旦那様の手が伸びてきて、私をそっと抱きしめる。



