「菰野には涼音に傷を作ったら許さぬと言ったのに、やつがれが顔にも傷を作ってしまった」
旦那様の手がそっと私の頬を撫でる。
頬の傷は浅かったのもあり、もうほぼ治っていた。
「あれは突然だったから仕方ないです」
いきなり、窓に手を突っ込まれるなんて旦那様も想定外だったに違いない。
それにしても。
「旦那様が妖が私に触れられない術をかけてくださったのに、どうしてあの狒々は私に触れられたのでしょう?」
別に旦那様の術が効いていなかったと言いたいわけではない。
旦那様に限って、そんなことはありえない。
けれど、あの狒々の爪は私の頬に届いた。
「あー……。
涼音には妖から姿をくらます術をかけたのだ。
ただし、においは遮断せずに漏れるように」
「そんなことができるんですか」
そんな器用に限定的に解除するなんて術、とても難しそうだ。
「ちぃとコツがいるのだが、できないことはない。
それであの狒々は涼音の姿は見えていなかったが、においを頼りに闇雲に手を出したのだろう」
旦那様の手が私の頬を撫でる。
これでようやく謎が解けた。
やはり、旦那様は一流なのだ。
旦那様の手がそっと私の頬を撫でる。
頬の傷は浅かったのもあり、もうほぼ治っていた。
「あれは突然だったから仕方ないです」
いきなり、窓に手を突っ込まれるなんて旦那様も想定外だったに違いない。
それにしても。
「旦那様が妖が私に触れられない術をかけてくださったのに、どうしてあの狒々は私に触れられたのでしょう?」
別に旦那様の術が効いていなかったと言いたいわけではない。
旦那様に限って、そんなことはありえない。
けれど、あの狒々の爪は私の頬に届いた。
「あー……。
涼音には妖から姿をくらます術をかけたのだ。
ただし、においは遮断せずに漏れるように」
「そんなことができるんですか」
そんな器用に限定的に解除するなんて術、とても難しそうだ。
「ちぃとコツがいるのだが、できないことはない。
それであの狒々は涼音の姿は見えていなかったが、においを頼りに闇雲に手を出したのだろう」
旦那様の手が私の頬を撫でる。
これでようやく謎が解けた。
やはり、旦那様は一流なのだ。



