そっと自分の胸に触れてみる。
そこにはもちろん旦那様の手が貫通した穴も、血の跡すらない。
当たり前だ、夢だったんだから。
けれど本当に胸を貫かれたかのような生々しい感触があった。
「……旦那様」
彼の腕を掴んだ私の手は、酷く震えている。
「ん?」
何事かに気づいたのか、旦那様は私を包み込むように抱きしめてくれた。
彼の腕の中で大好きな彼の匂いを胸いっぱいに吸い込んで気持ちを落ち着ける。
「どんな夢を見た?
話してみろ」
「でも……」
あんな夢、旦那様に話せるはずがない。
よりにもよって、旦那様が私を殺す夢など。
「怖い夢は人に話せば現実にはならない。
だから話してしまえ」
私の顔を見て、安心させるように彼が小さく笑う。
「そう、ですね」
気休めだとわかっている。
それでも今は、それに縋りたかった。
「旦那様に胸を貫かれて……死ぬ、夢でした」
あれは本当に夢だったんだろうか。
実家を出た日、紫乃が見た私の未来そのものだった。
「なんでやつがれが涼音を殺さねばならぬのだ」
旦那様が一気に不機嫌になっていく。
「やつがれはこんなに涼音を愛しているのに」
そこにはもちろん旦那様の手が貫通した穴も、血の跡すらない。
当たり前だ、夢だったんだから。
けれど本当に胸を貫かれたかのような生々しい感触があった。
「……旦那様」
彼の腕を掴んだ私の手は、酷く震えている。
「ん?」
何事かに気づいたのか、旦那様は私を包み込むように抱きしめてくれた。
彼の腕の中で大好きな彼の匂いを胸いっぱいに吸い込んで気持ちを落ち着ける。
「どんな夢を見た?
話してみろ」
「でも……」
あんな夢、旦那様に話せるはずがない。
よりにもよって、旦那様が私を殺す夢など。
「怖い夢は人に話せば現実にはならない。
だから話してしまえ」
私の顔を見て、安心させるように彼が小さく笑う。
「そう、ですね」
気休めだとわかっている。
それでも今は、それに縋りたかった。
「旦那様に胸を貫かれて……死ぬ、夢でした」
あれは本当に夢だったんだろうか。
実家を出た日、紫乃が見た私の未来そのものだった。
「なんでやつがれが涼音を殺さねばならぬのだ」
旦那様が一気に不機嫌になっていく。
「やつがれはこんなに涼音を愛しているのに」



