「やれといったのはやつがれだ。
そう落ち込むな」
「でも……」
旦那様に嫌なことを無理矢理させてしまった。
そんなの、申し訳なさすぎる。
「やつがれが許すと言っているのだ。
気にするな」
「あう。
痛いです……」
私の頬を両手で摘まみ、旦那様が引っ張ってくる。
痛くて涙目になった私を見て旦那様は笑っているが、先ほどのはやはり私が悪かったと思うのでこれくらい、いい。
「もっとも、涼音に命じられたくらいなら気合いを入れれば簡単に破れるけれどな」
「え、そうなんですか」
だから最後は、動けたんだ。
「公通だとそうはいかぬ。
あやつに涼音を殺せと命じられれば、やつがれは殺したくなくても涼音を殺してしまう」
それを聞いて背筋に寒いものが落ちていく。
もしかして旦那様は今までそうやって綱木長官に命じられ、自分の意に反するやりたくないことをやらされててきたのだろうか。
うかがうように旦那様を見上げると、彼は弱々しく笑った。
その笑顔はそうだと肯定しているようで、胸が引き裂かれるかのごとく痛くなった。
「でもこんなに大事なお名前、私に教えてよかったんですか」
そう落ち込むな」
「でも……」
旦那様に嫌なことを無理矢理させてしまった。
そんなの、申し訳なさすぎる。
「やつがれが許すと言っているのだ。
気にするな」
「あう。
痛いです……」
私の頬を両手で摘まみ、旦那様が引っ張ってくる。
痛くて涙目になった私を見て旦那様は笑っているが、先ほどのはやはり私が悪かったと思うのでこれくらい、いい。
「もっとも、涼音に命じられたくらいなら気合いを入れれば簡単に破れるけれどな」
「え、そうなんですか」
だから最後は、動けたんだ。
「公通だとそうはいかぬ。
あやつに涼音を殺せと命じられれば、やつがれは殺したくなくても涼音を殺してしまう」
それを聞いて背筋に寒いものが落ちていく。
もしかして旦那様は今までそうやって綱木長官に命じられ、自分の意に反するやりたくないことをやらされててきたのだろうか。
うかがうように旦那様を見上げると、彼は弱々しく笑った。
その笑顔はそうだと肯定しているようで、胸が引き裂かれるかのごとく痛くなった。
「でもこんなに大事なお名前、私に教えてよかったんですか」



