遠くはよく見える反面、近くは見えづらいのらしい。
眼鏡姿の旦那様は知的に見えて、格好いいとか思っているのは内緒だ。
「しかしこれは、猫が主役の話なのか?」
旦那様は物珍しそうにしげしげと本を読んでいる。
「はい。
なんだかふてぶてしいところが可愛くて」
猫は好きだ。
特に冬場は抱いていると温かく、こっそり隠しておいた出がらしのいりこを餌によく暖を取らせてもらった。
「涼音は猫が好きなのか」
「好きです」
だからこの小説を読み始めたといってもいい。
「鬼は、鬼は嫌いなのか」
悲しそうな瞳で旦那様が私の顔を見てくるが、どうしてそんなに必死なのだろう。
「鬼は怖いですが……」
「そうか」
しゅんと旦那様が項垂れる。
「でも、旦那様は別です」
それを聞いて、ぱっと旦那さまの顔が輝く。
「猫よりも好きか」
「はい。
猫よりも旦那様が好きです」
「そうか」
一気に旦那様が上機嫌になる。
もしかして猫に、ヤキモチを妬いていたんだろうか。
「しかし涼音も、だいぶ字を覚えてきたな」
旦那様が捲っているノートの、最初の字は〝涼音〟だ。
眼鏡姿の旦那様は知的に見えて、格好いいとか思っているのは内緒だ。
「しかしこれは、猫が主役の話なのか?」
旦那様は物珍しそうにしげしげと本を読んでいる。
「はい。
なんだかふてぶてしいところが可愛くて」
猫は好きだ。
特に冬場は抱いていると温かく、こっそり隠しておいた出がらしのいりこを餌によく暖を取らせてもらった。
「涼音は猫が好きなのか」
「好きです」
だからこの小説を読み始めたといってもいい。
「鬼は、鬼は嫌いなのか」
悲しそうな瞳で旦那様が私の顔を見てくるが、どうしてそんなに必死なのだろう。
「鬼は怖いですが……」
「そうか」
しゅんと旦那様が項垂れる。
「でも、旦那様は別です」
それを聞いて、ぱっと旦那さまの顔が輝く。
「猫よりも好きか」
「はい。
猫よりも旦那様が好きです」
「そうか」
一気に旦那様が上機嫌になる。
もしかして猫に、ヤキモチを妬いていたんだろうか。
「しかし涼音も、だいぶ字を覚えてきたな」
旦那様が捲っているノートの、最初の字は〝涼音〟だ。



