私たちに気づいた彼は恥ずかしそうに少し、赤くなった。

「そちらも仲のよろしいことで」

こほんと咳払いして仕切り直した彼に言われ、今度は私が赤くなる番だった。

田沢さんが用意してくれた椅子に私を座らせ……たりせず、旦那様は膝の上に私を抱えて座った。

「もう大丈夫なんですか」

「もう少し休めば大丈夫ですよ。
傷もほとんど、かすり傷ですし。
……ごほっ、ごほっ」

証明しようと胸を叩いた菰野さんだが、そのせいで派手に咳き込んでいる。

「ほら、まだご無理をなさっては」

「そうですわ。
安静になさっていないと」

「だから僕にかまうな!」

すぐに船津さんと田沢さんが菰野さんのお世話をしようとしてくるのが微笑ましい。
菰野さんは迷惑みたいだけれど。

「あー、えっと。
お大事に」

旦那様にそっと目配せすると意味がわかったのか、頷いて私を抱き上げた。

「身体が治るまでは我が家で面倒見るから、ゆっくりしていけ」

「えっ、ちょっと待って!
嫌ですよ!」

すぐ背中から菰野さんの悲痛な声が追ってきて、笑っていた。
菰野さんは彼女たちにまかせておけば大丈夫だろう。