昨晩、私がベッドに入る前もまだ、昏々と眠り続けていた。
異能を使いすぎたせいだというのはわかっている。
それでも心配だった。
「今朝には目を覚ましたぞ。
それでもまだ起き上がれないから……見たほうが早いか」
「きゃっ」
いきなり旦那様に抱き上げられ、悲鳴が漏れる。
彼は自分の腕に私を座らせるようにして抱きかかえた。
そのまま、部屋を出ていく。
「……自分で歩けます」
少しふて腐れて唇を尖らせる。
「ん?
今日は涼音に一歩も歩かせぬ」
けれど旦那様には効いていないみたいですかさずそこに口づけを落とされ、黙ってしまった。
「入るぞー」
声をかけて旦那様がドアを開ける。
途端に中から声が響いてきた。
「菰野さま。
お林檎、剥きましたよ。
お召し上がりになりませんか」
「菰野さま。
怪我、おつらくありませんか。
お薬、塗りましょうか」
目の前では船津さんと田沢さんが甲斐甲斐しく菰野さんの世話を焼いていた。
「あーもー、ゆっくり寝かせてくれー!」
「仲がよさそうなことで」
菰野さんの堪忍袋の緒が切れたところで、旦那様が声をかける。
異能を使いすぎたせいだというのはわかっている。
それでも心配だった。
「今朝には目を覚ましたぞ。
それでもまだ起き上がれないから……見たほうが早いか」
「きゃっ」
いきなり旦那様に抱き上げられ、悲鳴が漏れる。
彼は自分の腕に私を座らせるようにして抱きかかえた。
そのまま、部屋を出ていく。
「……自分で歩けます」
少しふて腐れて唇を尖らせる。
「ん?
今日は涼音に一歩も歩かせぬ」
けれど旦那様には効いていないみたいですかさずそこに口づけを落とされ、黙ってしまった。
「入るぞー」
声をかけて旦那様がドアを開ける。
途端に中から声が響いてきた。
「菰野さま。
お林檎、剥きましたよ。
お召し上がりになりませんか」
「菰野さま。
怪我、おつらくありませんか。
お薬、塗りましょうか」
目の前では船津さんと田沢さんが甲斐甲斐しく菰野さんの世話を焼いていた。
「あーもー、ゆっくり寝かせてくれー!」
「仲がよさそうなことで」
菰野さんの堪忍袋の緒が切れたところで、旦那様が声をかける。



