「私よりも旦那様、が」

今、どこでどうしているのだろう。
お仕置きとはいったい、なにをされるのだろう。
実家で義母と紫乃から受けたお仕置きを思い出し、身体が震える。
皮膚が裂けるなどかまわず、竹鞭で打たれたりするのだろうか。
それとも、髪を縛った縄でつま先がぎりぎり床に着くように吊るされるとか?

今日は疲れているだろうから早く寝たほうがいいと言われ、早い時間にベッドに入ったが眠れない。
何度も寝返りを繰り返す。
深夜になって玄関が開いた音のすぐあと、なにかが倒れる大きな音がした。

「旦那様……?」

なぜか、そんな気がする。
そっと部屋を出ると思った通り、玄関ホールに旦那様が倒れていた。

「旦那様!」

慌てて彼に駆け寄る。
肩を揺らすがうつ伏せに倒れたまま、彼はぴくりともしない。

……まさか、死んだとか。

そんなのない。
ありえるはずがない。
浮かんでくる涙を拭い、ぐっと堪える。
取り乱している場合ではない。
私が旦那様をお助けするんだ。

船津さんたちを呼んで寝室に旦那様を運んでもらう。
幸い、息をしているのはわかった。
そのあとはふたりきりにしてもらう。