つらそうに旦那様が顔を歪ませる。
しかし今、自分がどんな目で彼を見ているのかわからない。
「涼音が怖がると思って言えなかったのだ」
旦那様なりの気遣いなのはわかる。
でも、本当のことを言ってほしかった。
しかし人攫いではなく人喰らいだと知っていたら、私は囮役など頼まれただろうか。
それにこれが人喰らいだったとしてもいまさら、なにかが変わるわけではない。
なのになぜ、私は旦那様を責めようとしたのだろう。
「……申し訳、ありません」
「いや、涼音が謝る必要はない」
「そうだよ、涼音さんが謝る必要はない。
悪いのは手をこまねいて犠牲者を増やし続けたこれだ」
綱木長官の言葉にはっとした。
人攫いならば攫われた人たちはどこかで無事なのかもしれないと期待が持てた。
しかし、人喰らいは違う。
そんな危険な妖をなかなか捕まえられなかった旦那様に私は腹を立てていたのだ。
「そうだ。
やつがれがなかなかこの狒々を捕まえられなかったから、たくさんの被害者を出してしまった」
旦那様の声には深い後悔が滲んでいた。
こんな彼を責めようなどと私は何様だ。
「旦那様……」
しかし今、自分がどんな目で彼を見ているのかわからない。
「涼音が怖がると思って言えなかったのだ」
旦那様なりの気遣いなのはわかる。
でも、本当のことを言ってほしかった。
しかし人攫いではなく人喰らいだと知っていたら、私は囮役など頼まれただろうか。
それにこれが人喰らいだったとしてもいまさら、なにかが変わるわけではない。
なのになぜ、私は旦那様を責めようとしたのだろう。
「……申し訳、ありません」
「いや、涼音が謝る必要はない」
「そうだよ、涼音さんが謝る必要はない。
悪いのは手をこまねいて犠牲者を増やし続けたこれだ」
綱木長官の言葉にはっとした。
人攫いならば攫われた人たちはどこかで無事なのかもしれないと期待が持てた。
しかし、人喰らいは違う。
そんな危険な妖をなかなか捕まえられなかった旦那様に私は腹を立てていたのだ。
「そうだ。
やつがれがなかなかこの狒々を捕まえられなかったから、たくさんの被害者を出してしまった」
旦那様の声には深い後悔が滲んでいた。
こんな彼を責めようなどと私は何様だ。
「旦那様……」



