幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

「ただし、涼音にたとえかすり傷でも負わせたら、菰野でも許さぬからな」

「はいはい。
だから確実にあんたが仕留めれば問題ないんですって」

まんまと旦那様が菰野さんに乗せられ、私の囮作戦が決まった。


それから数日は、私を囮とする準備が進んだ。
なにやらいろいろ仕込みとやらをしているらしい。
いよいよ明日は作戦という日の夜、旦那様が私の部屋に来た。

「今から涼音に、術をかける」

「術、ですか?」

「そうだ。
妖が涼音に触れられぬ術をかける」

旦那様が頷いてみせる。
ということは、前に裏道に迷い込まないように術をかけてくれた、あんな感じなんだろうか。

「着物を脱げ」

それを聞いて、我が耳を疑う。
今まで旦那様は私が嫌がる命令はしなかった。
なのに着物を脱げって本気で言っているのだろうか。
どうか冗談であってくれと旦那様の顔を見上げるが、彼にはどこにもふざけた様子がない。
絶望に打ちひしがれながら、嫌々と首を振った。

「すまぬ。
これは肌に直接、刻まねばならぬのだ」

苦しそうに旦那様の顔が歪む。
ああ。