幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

彼の袖を引き、おずおずと上目遣いで見上げる。

「お役に立てるのであれば、私は全然」

それこそ、こんなによくしてくださっている旦那様にご恩を返せるのだ。
本望に決まっている。

「……可愛い」

なぜか鼻から下を手で隠し、旦那様が顔を逸らす。

「ダメだ」

どうかしたのかと思っていたら、すぐに顔を引き締めてきっぱりと私の申し出を断ってきた。

「涼音を危ない目になど遭わせられぬ」

彼の目には強い意志が込められている。
それは嬉しいけれど、このままでは八方塞がりなのだ。

「危ない目って言いますけど、涼音さんにはあの日と同じように車に乗っていてもらうだけです。
僕もしっかり警護します」

「しかし……」

危険はないと菰野さんが説得しても、旦那様の反応は渋い。

「それにだいたい、あんたが仕留めれば問題ない話です。
なんです、また無様に逃すつもりですか」

呆れるように菰野さんが肩を竦める。

「うっ」

それにはさすがの旦那様も堪えているようだった。

「わ、わかった。
涼音を囮に使うことを許す」

あきらかに嫌々だとわかる様子で旦那様が承知する。