幾久しくよろしくお願いいたします~鬼神様の嫁取り~

「なるほどな」

旦那様は納得しているが、それがどうかしたのだろう?
あの日、早い時間に人攫いが出た理由はわかったが、それが捜索に結びつくとは思えない。

「それでですね」

言いにくそうにちらりと、菰野さんの視線が私へと向く。

「涼音さんに囮になってもらうというのはどうでしょう?」

「それはダメだ!
……おっと、すまぬ」

大声を出して旦那様が勢いよく立ち上がる。
そのせいでソファーから落ちそうになったが、慌てて旦那様が抱き止めてくれた。

「ダメだ、ダメだ。
涼音を囮にするなどやつがれが許さぬ」

しっかりと私を隠すように抱きしめ、旦那様が菰野さんを威嚇する。

「でも、このままじゃ人攫いを捕まえられないですよ?
また綱木長官のお叱りを受けてもいいんですか」

「そ、それは」

動揺しているのか、旦那様がせわしなく視線を泳がせる。
つい先日、いつまで人攫いをのさばらせておくのだと綱木長官からまた、お叱りを受けたそうだ。
帰ってきて補充とやらをされたので知っている。

「旦那様」