しかも旦那様を挑発するように、以前よりも頻度がかなり多いらしい。

「絶対に捕まえてやる」

旦那様が新聞を握りつぶした、ぐしゃりという音が大きく響いた。


その日は仕事から帰ってきてから、旦那様は菰野さんとなにやら相談していた。
のはいい。
なぜ私が同席させられているんだろう?
しかも旦那様に後ろから抱きしめられ、頭の上に顎をのせられている状態なのかわからない。

「綱木中尉の面目丸潰れでざまーみろ。
と、言いたいところですが、犠牲者が出続けているので喜べません」

さすがの菰野さんも今回は深刻そうだ。

「なので早く犯人を捕まえましょう」

「そうだな。
これでは安心して船津も田沢も外に出せん」

ここ最近、旦那様は船津さんたちに外出禁止令を出していた。
やはり心配なのらしい。

「しかし、散々手を尽くしても、見つからぬ。
においを消されてはさすがのやつがれもお手上げだ」

旦那様が降参だと両手を上げて見せる。

「それなんですけど」

少し悩んだあと、菰野さんは顔を上げた。

「あいつは暗くなってからしか出ないはずなのに、なんであの日はあんな明るい時間に出たんでしょう?」