さらに旦那様が迫ってきて、困り果てて菰野さんに視線を送る。
彼はため息をついたあと、うんと頷いた。
「その。
そのうち、お話しいたします」
これでいいかと再び菰野さんをうかがう。
彼は正解だと勢いよく何度か頷いた。
「わかった。
なら、許す」
渋々ながら旦那様が納得してくれてほっとした。
それに私の口から話さなくても、いい時期になったら菰野さん自身が旦那様に話すんじゃないかと思う。
帝都を騒がす人攫いは一応は捕まった。
――はずだった。
「また出た」
朝食の席で新聞を読んでいた旦那様が嫌そうに顔を顰める。
どうも、新しい犠牲者が出たようだ。
綱木中尉は人攫いを捕まえたと得意げだったが、その後もこうやって犠牲者が出続けている。
ようやく捕まった彼と対面した旦那様が傷跡もないしにおいも違うからこの人ではないと断言したらしいが、聞き入れてもらえなかったそうだ。
「好き勝ってやりおって」
旦那様の顔が苦々しげになる。
綱木中尉が人攫い――濡れ衣だが――を捕まえた少しあとから、旦那様に負わされた傷が癒えたのか活動が活発になってきた。
彼はため息をついたあと、うんと頷いた。
「その。
そのうち、お話しいたします」
これでいいかと再び菰野さんをうかがう。
彼は正解だと勢いよく何度か頷いた。
「わかった。
なら、許す」
渋々ながら旦那様が納得してくれてほっとした。
それに私の口から話さなくても、いい時期になったら菰野さん自身が旦那様に話すんじゃないかと思う。
帝都を騒がす人攫いは一応は捕まった。
――はずだった。
「また出た」
朝食の席で新聞を読んでいた旦那様が嫌そうに顔を顰める。
どうも、新しい犠牲者が出たようだ。
綱木中尉は人攫いを捕まえたと得意げだったが、その後もこうやって犠牲者が出続けている。
ようやく捕まった彼と対面した旦那様が傷跡もないしにおいも違うからこの人ではないと断言したらしいが、聞き入れてもらえなかったそうだ。
「好き勝ってやりおって」
旦那様の顔が苦々しげになる。
綱木中尉が人攫い――濡れ衣だが――を捕まえた少しあとから、旦那様に負わされた傷が癒えたのか活動が活発になってきた。



