私を後ろへ向かせ、旦那様が顎を持ち上げてくる。
じっとルビーのような赤い瞳に見つめられ、喉が知らず知らずごくりと音を立てた。
操られるように唇を開き、言葉を紡ぐ。

「いい、ですよ」

言い切るのも待ちきれないかのように唇が重なった。
すぐにぬるりと旦那様が口腔に侵入してきて、私を蹂躙する。
荒々しい口づけは息をつく隙さえなく、次第に頭がぼーっとしてきた。

「おっと」

身体から力が抜け、崩れ落ちそうになった私を慌てて旦那様が支えてくれる。

「わるい、吸いすぎた」

私を抱きかかえ、旦那様はソファーで膝枕をして寝かせた。

「そんな。
旦那様にこんなことをしていただくなんて恐れ多いです」

起き上がりたいけれど、身体が上手く動かない。

「やつがれが涼音の精気を吸いすぎたせいだ。
ゆるせ」

申し訳なさそうに旦那様が眉を寄せる。
息ができないからくらくらしてきたのかと思っていたが、そのせいもあったのか。

「大丈夫ですよ、気にしないでください」

まだだるい身体で手を伸ばし、旦那様の頬に触れた。

「優しいな、涼音は」