話が終わり腰を浮かせた瞬間、勢いよくドアが開いた。
「父上!
我々がとうとう、人攫いを捕まえました!」
無遠慮に入ってきたのは綱木中尉とその取り巻きたちだった。
「残念だったな、おにぃ」
頬を醜く歪めてにやりと笑った彼の口もとから、汚い歯がのぞく。
旦那様はあんなに相手にするなと言っていたのに、憎々しげに綱木中尉を睨んでいた。
「軍部では長官と呼ぶように言ってあるはずだが?
綱木中尉」
にっこりと笑う綱木長官のそれは完全に作り物めいていて、背筋が冷える。
「申し訳ありません、父上!
しかし我々はあの、帝都を脅かす人攫いを捕まえたのです!
この鬼ふぜいではなく、この我々が!」
しかし中尉には効いていないらしく、彼は興奮してこの自分がと強調するように胸を何度か叩いた。
注意を息子に無視され、長官の額に青筋が浮いているように見えるのは私だけだろうか。
「人攫いも捕まえられないなんて、オマエなんて役立たずなんだよ。
父上はオマエに好き勝手させているようだが、俺が主になったら鎖で繋いで家畜同然に扱ってやるからな」
優越感に浸り、中尉がにたりと嫌らしい笑みを浮かべる。
「父上!
我々がとうとう、人攫いを捕まえました!」
無遠慮に入ってきたのは綱木中尉とその取り巻きたちだった。
「残念だったな、おにぃ」
頬を醜く歪めてにやりと笑った彼の口もとから、汚い歯がのぞく。
旦那様はあんなに相手にするなと言っていたのに、憎々しげに綱木中尉を睨んでいた。
「軍部では長官と呼ぶように言ってあるはずだが?
綱木中尉」
にっこりと笑う綱木長官のそれは完全に作り物めいていて、背筋が冷える。
「申し訳ありません、父上!
しかし我々はあの、帝都を脅かす人攫いを捕まえたのです!
この鬼ふぜいではなく、この我々が!」
しかし中尉には効いていないらしく、彼は興奮してこの自分がと強調するように胸を何度か叩いた。
注意を息子に無視され、長官の額に青筋が浮いているように見えるのは私だけだろうか。
「人攫いも捕まえられないなんて、オマエなんて役立たずなんだよ。
父上はオマエに好き勝手させているようだが、俺が主になったら鎖で繋いで家畜同然に扱ってやるからな」
優越感に浸り、中尉がにたりと嫌らしい笑みを浮かべる。



