真夜中、いつも通りの時間にいつも通り場所。
「仮面の使徒、早すぎるんだよ。もっと人のこと考えろや。」
「遅いお前が悪いんじゃねぇの。漆黒の太陽さんよォ。」
私たちが言い合っているとぬっと誰かの影が現れる。
「お前ら、ホントに仲いいよなァ。カップルかっての。」
包帯を巻いた吉だった。
「総長、怪我はもう大丈夫なんすか。足と腹とか。」
私が問いかけると、吉はいつものようにニカッと笑った。
「おめぇに心配されるような小さい玉じゃねぇよ。後なぁ、ありがとぉな。俺らの大切なチーム守ってくれて。この白虎は俺の命同然なんだよ、だから、ホントにありがとォ。」
吉が私たちに頭を下げながら謝礼を述べてくる。周りにいた人達も一緒になって頭を下げる。
「ありゃしゃす。」
その言葉が響き渡る。清香が一本前に出た。
「総長、そしてみんな顔を上げてくれ。ここは私たちにとっても大切な場所なんだ。私たちは私たちの居場所を守っただけなんだ。だから、頭なんて下げないでくれ。みんなで一緒に戦っただろ。これは白虎みんなの勝利なのだから。」
白虎のメンバーの中には、清香の演説に涙を流している人や、拍手喝采をしている人、そして笑い合っている人の姿があった。
「一番隊隊長仮面の使徒と一番隊副隊長漆黒の太陽に大きな拍手を。」
吉の呼びかけに白虎のメンバーだけでなく、元沙羅曼蛇の人々も拍手する。
「ははっ、何か照れるな。そう思わないか、漆黒の太陽。」
「ああ、やっと俺たちの存在価値が認められたんだ。やっぱりここと仮面の使徒の隣だけが俺の居場所だなァ。」
私の言葉に周りにいた人々が驚きの声を上げる。清香は普段あまり話さないから、女だと気づいていない人もいただろう。吉も驚いて目を丸くしていた。
「やっぱり、お前ら出来てるじゃねぇか。俺様、仮面の使徒の事少しだけ狙ってたのによォ。たく、結婚式にはぜってぇ呼べよ。」
周りからもう一度拍手が起こる。こんなにも自分たちの事を認めてもらえるとは思っていなかった。たとえ姿や顔が見えなくても、心は繋がることが出来るのだ。
「もう、馬鹿。」
清香が囁く。その小さな言葉を聞いた人々はより一層盛り上がった。