見慣れた後ろ姿を見つけ少し足を速める。
「ご機嫌よう。光輝さん、昨日…今日はよく寝れたかしら。」
「おはよう清香。忙しくてあまり寝られなかったよ、それは君もでしょ。」
「ふふ、そうですわね。」
いつものように笑う光輝の頬をつつく。
「どうしたんだい。私の顔に何か付いているのかい。」
光輝が不思議そうな顔で聞いてくる。周りで横目で見ていた民衆が私たちに釘付けになる。そんな事は気にしない。だって、私たちは婚約者なのだから。やっと思いが伝わったのだから。
「愛してるわ、光輝さん。」
周りの人々が叫ぶ声が聞こえる。黄色い歓声や、驚く声が学校中に響き渡る。
「清香、大胆過ぎないかい。その、みんな見ているのだよ。」
光輝が少しだけ顔を赤らめている。そんな姿が余計に可愛い。
「あら、愛を伝えるのに、時と場所は関係無いのでは無くて。」
私は自信満々に堂々と言い放つ。興奮している周りの人々を一瞥する。喜びながら呆れている光輝が咳払いをした。
「では、清香。私も清香を愛しているよ。誰よりもずっと昔から、誰よりもずっと深く君を愛している。」
女子たちの黄色い歓声が響く。簡単には抑えられないような熱が校内に充満した。
「は、反則ですわ。」
もちろん私も頬に熱を持っていた。