「待ってくれ。」
途中で知っている声に止められた。吉だった。腹部からは血が流れ、たくさんの打撲痕や、変に曲がった足など、たくさんの損傷を背負っていた。
「俺様も戦いに連れてけ。」
「そんなボロボロの体で何が出来るって言うんだよ。」
光輝は吉を一瞥してから冷たく吐き捨てた。
「総長は取り敢えず病院に行った方が良いっす。後は任せてください、あたしらで決着を付けて来ますから。」
吉にそう告げ光輝の後を追う。たくましい背中に追い付きたくて手を伸ばす。すると、光輝が振り返った。
「早くしろよ。」
「なんだ、手の届くことろに絶対いるじゃん。絶対に私から離れないじゃん。」
光輝の背中にはいつでも手が届く。光輝の隣に並ぶことも出来る。お互いに歩幅を合わせて、二人一緒に歩んでいくから。これからもそれは変わらない。
「何か言ったか。」
「ううん、何でも無い。」
敵陣が見える。覚悟を決めるため深呼吸をする。大丈夫、隣には世界で一番信じられる相棒がいるのだから。