光輝がドームでたくさんのメンバーに戦闘を習っている時、私は吉の部屋にいた。
「おい、落としてくれるんじゃないすか。」
私は吉さんに事前にこいつの事を落としてくれと連絡を入れておいた。しかし、結果としては光輝は吉に気に入られ、仮加入してしまったのだ。
「まあまあ、仮面よ。あいつはなァ、すごい意思を持ってるぞ。誰にも負けないような強い強い意思。なんでも、大切な人を守れるようになりたいんだとよ。」
吉に説得されても私はあまり納得がいかなかった。ザ・温室育ちの天野川光輝様には戦闘なんて、ましてや人を殴るなんて出来ないと思う。
「自分の身を守るために拳を振らない人はすぐに負ける。吉さんも、それはよく知ってるでしょう。なんで、人のために拳を振るう奴を加入させたんだよ。こんなの前代未聞っすよ。」
吉は今まで、自分の身を守るために拳を振るうやつしか入団させていなかった。人を守りたい人は、たとえ他人でも傷つける事が出来ないからだ。
「でも、俺にはあいつが何か特別な意思を持っていると感じたんだ。だから、三回目の質問をした。」
三回目の質問。これは選択肢を間違えてしまった者に贈られる、吉からの最初で最後のプレゼントだ。質問の内容はいつも決まって「もしも、お前が大切な人を守るために人を殺めてしまったらどうする」と言う内容だ。吉が求めている答えを述べなければならない。前に選択肢を間違えたやつはこの問題にも答えられないはずだ。
「あいつは何て。」
恐る恐る尋ねる。
「あいつな、「分からない」って答えたんだよ。で、その後「どうしたら良いんでしょう。」だってよォ。今まで質問に質問を返してきた人はいなかった。「警察に自首する」とか「誰にもバレないように隠す」とかそんなくだらない解答ばかり。でも、今回の答えは初めてだったなァ。」
吉は面白そうにゲラゲラと笑っている。
「あの、質問っす。この問題の正しい答えって何すか。」
これは今の話を聞いていて私が一番気になった事だ。
「ああ、この問題に正解は無い。」
吉は悪い顔でニカッと笑う。
「大体、仮面だって知ってるだろォ。最初の問題で間違えたやつはみんな落としてるって。」
吉はさらに続けて話す。
「てか、思い出したら笑えて来た。仮面、お前の入団理由。本当にすごいよな、あれ。」
吉が腹を抱えて笑い出す。もうこうなったら、笑いが収まるまで待つしか無い。それはさておき、私の入団理由は「日常に退屈したから」だ。私は非日常を求めて、ヤンキーになった。何度も繰り返す同じような日の無限ループから抜け出したかった。新しい刺激が欲しかった。それだけだった。私は二問目、三問目の質問などされず最初の質問だけで通ったのだ。
「ふぅ、笑った笑った。懐かしいな。お前みたいな解答をするやつを俺は見たことがねぇよ。」
楽しそうな吉を横に、私には光輝が入団することに対しての不安しか無かった。
数日の時が経ち、光輝の戦いを見せてくれることになった。仕上がってなかったらここから追い出してやろうと思っていた。ドームへ行くと丁度光輝のバトルタイムだった。
「えっ。」
私は自分の腰が抜けるかと言うほど驚いた。あの温室育ちの光輝が戦えるようになっていたのだ。さらに驚くことに、光輝の対戦相手は一番隊隊長だったからだ。結果はタイムアップで同点。信じられない光景に呆気に取られていると、戦闘が終わった光輝がこっちに向かってきた。
「な、俺スゲェだろ。」
口調もいつもの光輝とは違い、動揺のあまり無言で頷く事しか出来なかった。これなら、いつ正式的に入団してもおかしくは無い。きっと次の喧嘩には参加させられるだろう、そう思っていると吉がステージの上に立った。
「今日、家のもんが光線(フラッシュ)に宣戦布告された。みんな攻めに行くぞォ。」
光線と言うのは、隣町を牛耳っているヤンキーグループだ。何度もやり合ってるが勝負がつかない状態が続いている。人数もチームの戦力平均も同じくらいだ。
「ここで、みんなに重大発表がある。おい新人、こっち来い。」
光輝がステージに上がり、吉の隣に立った。
「今日から、こいつを正式的に加入させる。そして、仮面の使徒と同様で自分の身を隠している。こいつの名は俺が付けさせてもらった。「漆黒の太陽」だ。全身真っ黒な服、真っ黒なマスク。それでも隠しきれないオーラが出ているだろ。今日から俺らの仲間だ。」
吉の言葉が終わり次第、光輝は拳を天に掲げ加入宣言をした。
「分隊はまだ決まっていないが、みんな先輩として仲良くしてやるんだぞ。」
吉の言葉に全員が「ウッス」と答えた。
「おい、落としてくれるんじゃないすか。」
私は吉さんに事前にこいつの事を落としてくれと連絡を入れておいた。しかし、結果としては光輝は吉に気に入られ、仮加入してしまったのだ。
「まあまあ、仮面よ。あいつはなァ、すごい意思を持ってるぞ。誰にも負けないような強い強い意思。なんでも、大切な人を守れるようになりたいんだとよ。」
吉に説得されても私はあまり納得がいかなかった。ザ・温室育ちの天野川光輝様には戦闘なんて、ましてや人を殴るなんて出来ないと思う。
「自分の身を守るために拳を振らない人はすぐに負ける。吉さんも、それはよく知ってるでしょう。なんで、人のために拳を振るう奴を加入させたんだよ。こんなの前代未聞っすよ。」
吉は今まで、自分の身を守るために拳を振るうやつしか入団させていなかった。人を守りたい人は、たとえ他人でも傷つける事が出来ないからだ。
「でも、俺にはあいつが何か特別な意思を持っていると感じたんだ。だから、三回目の質問をした。」
三回目の質問。これは選択肢を間違えてしまった者に贈られる、吉からの最初で最後のプレゼントだ。質問の内容はいつも決まって「もしも、お前が大切な人を守るために人を殺めてしまったらどうする」と言う内容だ。吉が求めている答えを述べなければならない。前に選択肢を間違えたやつはこの問題にも答えられないはずだ。
「あいつは何て。」
恐る恐る尋ねる。
「あいつな、「分からない」って答えたんだよ。で、その後「どうしたら良いんでしょう。」だってよォ。今まで質問に質問を返してきた人はいなかった。「警察に自首する」とか「誰にもバレないように隠す」とかそんなくだらない解答ばかり。でも、今回の答えは初めてだったなァ。」
吉は面白そうにゲラゲラと笑っている。
「あの、質問っす。この問題の正しい答えって何すか。」
これは今の話を聞いていて私が一番気になった事だ。
「ああ、この問題に正解は無い。」
吉は悪い顔でニカッと笑う。
「大体、仮面だって知ってるだろォ。最初の問題で間違えたやつはみんな落としてるって。」
吉はさらに続けて話す。
「てか、思い出したら笑えて来た。仮面、お前の入団理由。本当にすごいよな、あれ。」
吉が腹を抱えて笑い出す。もうこうなったら、笑いが収まるまで待つしか無い。それはさておき、私の入団理由は「日常に退屈したから」だ。私は非日常を求めて、ヤンキーになった。何度も繰り返す同じような日の無限ループから抜け出したかった。新しい刺激が欲しかった。それだけだった。私は二問目、三問目の質問などされず最初の質問だけで通ったのだ。
「ふぅ、笑った笑った。懐かしいな。お前みたいな解答をするやつを俺は見たことがねぇよ。」
楽しそうな吉を横に、私には光輝が入団することに対しての不安しか無かった。
数日の時が経ち、光輝の戦いを見せてくれることになった。仕上がってなかったらここから追い出してやろうと思っていた。ドームへ行くと丁度光輝のバトルタイムだった。
「えっ。」
私は自分の腰が抜けるかと言うほど驚いた。あの温室育ちの光輝が戦えるようになっていたのだ。さらに驚くことに、光輝の対戦相手は一番隊隊長だったからだ。結果はタイムアップで同点。信じられない光景に呆気に取られていると、戦闘が終わった光輝がこっちに向かってきた。
「な、俺スゲェだろ。」
口調もいつもの光輝とは違い、動揺のあまり無言で頷く事しか出来なかった。これなら、いつ正式的に入団してもおかしくは無い。きっと次の喧嘩には参加させられるだろう、そう思っていると吉がステージの上に立った。
「今日、家のもんが光線(フラッシュ)に宣戦布告された。みんな攻めに行くぞォ。」
光線と言うのは、隣町を牛耳っているヤンキーグループだ。何度もやり合ってるが勝負がつかない状態が続いている。人数もチームの戦力平均も同じくらいだ。
「ここで、みんなに重大発表がある。おい新人、こっち来い。」
光輝がステージに上がり、吉の隣に立った。
「今日から、こいつを正式的に加入させる。そして、仮面の使徒と同様で自分の身を隠している。こいつの名は俺が付けさせてもらった。「漆黒の太陽」だ。全身真っ黒な服、真っ黒なマスク。それでも隠しきれないオーラが出ているだろ。今日から俺らの仲間だ。」
吉の言葉が終わり次第、光輝は拳を天に掲げ加入宣言をした。
「分隊はまだ決まっていないが、みんな先輩として仲良くしてやるんだぞ。」
吉の言葉に全員が「ウッス」と答えた。



