目が覚めると見知らぬ広い部屋に寝かされていた。頭がズキズキとする。状況を確認しようと、我慢しながら体を起こそうとすると何者か制止させられた。
「清香、まだ寝てないと駄目だよ。」
左頬にガーゼを当てている光輝だった。
「光輝…さん。大丈夫ですか。」
口調を元に戻し損ねていて、危うく呼び捨てにするところだった。
「清香、今は人の心配よりも自分の体を心配してくれ。私の怪我はかすり傷だが、君は重傷なんだ。骨は折れてるし、血が出ていたり、青痣があったり。一体何をしていたらこうなるのかい。」
口調こそ優しかったが目の奥には怒りの炎がちらついていた。私は下を向いて黙るしかなかった。こんなこと、もしも光輝に知られて、光輝が親に話した暁には、私は外出禁止にされてしまう。
「光輝さんと同じように巻き込まれてしまっただけだわ。心配しないで大丈夫よ。」
「嘘をつくな。」
光輝に怒鳴られて私の身体はわかりやすく飛び跳ねた。いつもおっとりとしていて、誰に対しても声を荒げたことなんてなかった光輝が本気で私に怒っている。
「私を助けてくれた時は黒いローブを着て、仮面まで被っていたじゃないか。普段、あのような姿で出歩いてないだろう。一体何に巻き込まれているんだ。正直に答えないと君がどんな格好で何をしたか、私の知ってる範囲で父上に言いつけるよ。」
光輝が早口で捲し立てる。脅しているのだ。
「分かったわ、正直に話すわ。けれど、親には絶対伝えない、いいこと。」
「場合によるな。」
「なら、話せるものも話せなくってよ。」
つんと顎を突き立てた。この行動に光輝は弱いのだ。私が拗ねていると分かると昔からすぐに機嫌を直そうとしてくれるのだから。
「分かったよ。ただし条件、絶対に嘘をつかないこと。君の顔を見ていればすぐに嘘だって分かってしまうよ。もし、嘘をついた場合、すぐに五月雨家に連絡する、いいね。」
案の定光輝は私の条件を飲んでくれた。なら、私もそれに応えるのが礼儀だ。
「分かったわ。壮絶すぎて本当のことを嘘だと思わないようにね。」
「善処するよ。」
私はこれまで自分が経験したことや経緯をすべて打ち明けた。光輝は終始真面目な顔で聞いてくれた。私が話し終えると沈黙が続く。それがとても居づらかった。
「はぁ、これで全てよ。」
沈黙に耐えられず、つい言葉を漏らした。
「うん、教えてくれてありがとう。解決方法が見つかったよ。」
光輝が真面目な顔をあげて、微笑みながら頷く。
「解決方法。」
私には疑問で仕方なかった。解決したいことなんてない。光輝が聞きたいと言うから話しただけだ。一体何の解決方法だと言うのだろうか。
「うん、このままだと清香はたくさん怪我をしてしまう。そしたら、お父さんたちにバレる危険性があるよね。」
確かにそれはそうだ。この先、この泥試合を抑えるのに命がいくつあっても足りないのだから。
「それで、私が考えた解決方法は。」
光輝が一回深呼吸をした。
「清香、まだ寝てないと駄目だよ。」
左頬にガーゼを当てている光輝だった。
「光輝…さん。大丈夫ですか。」
口調を元に戻し損ねていて、危うく呼び捨てにするところだった。
「清香、今は人の心配よりも自分の体を心配してくれ。私の怪我はかすり傷だが、君は重傷なんだ。骨は折れてるし、血が出ていたり、青痣があったり。一体何をしていたらこうなるのかい。」
口調こそ優しかったが目の奥には怒りの炎がちらついていた。私は下を向いて黙るしかなかった。こんなこと、もしも光輝に知られて、光輝が親に話した暁には、私は外出禁止にされてしまう。
「光輝さんと同じように巻き込まれてしまっただけだわ。心配しないで大丈夫よ。」
「嘘をつくな。」
光輝に怒鳴られて私の身体はわかりやすく飛び跳ねた。いつもおっとりとしていて、誰に対しても声を荒げたことなんてなかった光輝が本気で私に怒っている。
「私を助けてくれた時は黒いローブを着て、仮面まで被っていたじゃないか。普段、あのような姿で出歩いてないだろう。一体何に巻き込まれているんだ。正直に答えないと君がどんな格好で何をしたか、私の知ってる範囲で父上に言いつけるよ。」
光輝が早口で捲し立てる。脅しているのだ。
「分かったわ、正直に話すわ。けれど、親には絶対伝えない、いいこと。」
「場合によるな。」
「なら、話せるものも話せなくってよ。」
つんと顎を突き立てた。この行動に光輝は弱いのだ。私が拗ねていると分かると昔からすぐに機嫌を直そうとしてくれるのだから。
「分かったよ。ただし条件、絶対に嘘をつかないこと。君の顔を見ていればすぐに嘘だって分かってしまうよ。もし、嘘をついた場合、すぐに五月雨家に連絡する、いいね。」
案の定光輝は私の条件を飲んでくれた。なら、私もそれに応えるのが礼儀だ。
「分かったわ。壮絶すぎて本当のことを嘘だと思わないようにね。」
「善処するよ。」
私はこれまで自分が経験したことや経緯をすべて打ち明けた。光輝は終始真面目な顔で聞いてくれた。私が話し終えると沈黙が続く。それがとても居づらかった。
「はぁ、これで全てよ。」
沈黙に耐えられず、つい言葉を漏らした。
「うん、教えてくれてありがとう。解決方法が見つかったよ。」
光輝が真面目な顔をあげて、微笑みながら頷く。
「解決方法。」
私には疑問で仕方なかった。解決したいことなんてない。光輝が聞きたいと言うから話しただけだ。一体何の解決方法だと言うのだろうか。
「うん、このままだと清香はたくさん怪我をしてしまう。そしたら、お父さんたちにバレる危険性があるよね。」
確かにそれはそうだ。この先、この泥試合を抑えるのに命がいくつあっても足りないのだから。
「それで、私が考えた解決方法は。」
光輝が一回深呼吸をした。



