「一年生の一学期からここまで遅刻するやつがあるかぁ?」
反省文を提出したら、したで先生はまだお説教するみたいだった。
「はい!これからは、ちゃんと早く寝てもっと早く走れるようになります!」
「いやいや、そうじゃなくてさ」
「はい?」
本気で首を傾けるまつりに、先生は呆れたようにため息を吐いて、遠くを見るような目をした。
「もういいや、これから遅刻しなければいいからな」
「はい!もうしません!」
「返事は元気でよろしい」
「はい!ありがとうございます」
「もう、帰っていいよ」
「はい!失礼します!」
頭を下げて職員室から出ていく途中、背が高い男子生徒と目があった。
笑った。
私を見て笑った。
その、懐かしいいたずらっ子みたいな瞳が頭から離れなかった。


