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反省文

今日、私は遅刻をしました。
原因は、変な夢を見たからです。
しかし、寝過ぎてしまったことを悔やんでも仕方が無いと思います。私は、過去を振り返らず、常に前を向いて生きていきます。明日は、今日よりも早く寝て早く起き、変な夢を見ても早く起きて、それからもっと早く走れるようになって、二度と遅刻をしないようにします。





後野まつり

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ここまで書いて、まつりはため息をついた。

思うままに書いたところで、
渡された紙の半分も埋まらなかった。
これ以上何を書けばいいのかわからない。

夕日が入る教室で1人、首を捻っていると誰かが教室に入ってきた。


「まつりー!何やってんの?帰るよ」

まつりの幼馴染の天野若子である。

「わかちゃん!まって!」
「何これー。あんたまた遅刻したの?」

「だって」
「見せてみ」

まつりの手元にあった反省文を覗き込んだ。

「えーと、まつり…あんたさ…」

呆れるように首を振る若子に、まつりはいつもの小言が始まることがわかる。

「なに?わかちゃん」
「これじゃちゃんと反省してるように見えないよー」

「え?なんで?」

きょとんとするまつりに若子は更に呆れる。

「例えばさ、私は、過去を振り返らず〜なんて反省してませんって言ってるようなもんでしょ」

「えー、だってこれが私の本心なんだもん」

「そのまま出したらまた先生に怒られるよ。枠も余ってるし」

「反省文なんてさぁー意味ないんだよぉ」

「あー!もう、しょうがないなぁ!私がいう通り書き直しなよ」

「え!一緒に考えてくれるの?」

「早く帰りたいし、まつりがこのまま出したら明日もこの状態なんでしょ?」

「わかちゃんって優しいよね」

「そんな事ない。まつりを待つ時間が嫌なだけだよ」

「もう!天邪鬼なんだから!」