「今回のテストの平均点は…」

平均点との差にまつりは呆然として、テスト用紙の端を折り曲げた。

まつりの中間テストは最悪だった。

前野進のこと、若子が全て知っていながら黙っていること、分からないことがわかってしまった今、まつりの頭の中は勉強どころではない。

けれど時間は待ってはくれなかった。

「まつり〜数学どうだった?」
「ダメダメだよー、わかちゃんどうしよう」

「みて、ここの書き間違いなかったらここ点数取れたのに」
「まぁ期末あるし、次頑張ろうよ」

あれから若子と『前野進』の話はしなくなった。
まつりは話したかったが、若子が何を知っていて何を黙っているのか、そしてその理由は何なのか分からない状態で、まつり1人が忘れている滑稽さにまつりは耐えられなかった。

まるで若子に騙されているみたいだとまつりは心の端で思っていた。

(で、私はどうしたいんだ。)

先生の解答解説の声が遠くに聞こえる。