チャイムが鳴る中まつりは全力で走っていた。
風を切る音が耳を打つ。坂を駆け上がると教室からは遠いが、家からは1番近い南門がある。
チャイムの残音が漂う中、南門をダッシュで通った。
背後で誰かが呼んでいる気もしたが、そんなものは聞こえなかったことにする。
だって、わたし、後野まつりは
——絶対に振り返らない!
急いで教室に入ると、
「まつりちゃん!先生が呼んでるよ〜」
クラスメイトから言われて顔を上げると鬼の形相の担任の先生がいた。
「後野!またお前遅刻ギリギリに学校に来たらしいな!」
「すいません!明日は間に合うようにします」
「今日でアウトだよ!明日までに反省文書いてこい」
「はーい」


