時間は7時になろうとしていた。
「どうだった?」
若子は途方に暮れたまつりに聞くと、まつりは首を振った。
「進くん、松葉中だって。わかちゃん知ってたんでしょ?」
「うん」
「進くんって呼んでたんだって。進くんってわかちゃんとも仲良かったの?」
「私はそこまで仲良くなかったかな」
「だけど、わかちゃん知ってたんだ」
マクドナルドの店内放送がやけに耳に入った。
「まつりのお母さんから言うなって言われてるからさ。私がまつりと無くなった記憶について話すことも、まつりのお母さんは嫌がるだろうから本当はダメなんだけどね」
「どうしてお母さんが関係あるの?」
「私にはわかんないけどきっと、まつりのこと心配してるんでしょ」
その時、まつりは確信した。わかちゃんが私に何も相談しないのはうっかり昔の話をしてしまわないためだと。


