未来だけを考えると、とてもスッキリしたさっぱりした気持ちになる。

過去は何故か重苦しく感じてずっと振り返るのが嫌だった。だから忘れてしまったんだとまつりは思い込んでいた。

思い出してもきっと辛くなるだけな気がしていたから。


「わかちゃん、前野くんに聞いてみようかな」

「それがいいんじゃ無い?」

「わかちゃんは教えてくれないの?」

「私もどこまで言っていいのかもう分かんないや」

「まつりのお母さんから、まつりが混乱するから過去のことは言わないでおいてって言われてるから」


「わたしはそんなやわじゃ無いよ」

「でもきっと、まつりは辛い思いしたから忘れたんだと思うよ。このまま忘れていた方が良いかもしれないし」


「わかちゃんは私にどうして欲しいの?」

「私は、まつりに後悔してほしくないだけ」

「過去を知って苦しむか、未来だけ見るか。それはまつりが選ぶことだよ」

「進くんとの記憶は苦しい思い出なの?」

「そうかもしれないし、そうじゃ無いかもしれない。まつりにとって納得のいく結果にならないかもしれない」

「だからって、私の中学の頃の記憶が無かったことになるなんて、いやだよ」

「まつりならそう言うと思った。前野くんに聞いてみたら?」

「いつ聞こう」

「今じゃない?」