テスト期間中、3人はマックに行った。待ち合わせしたわけでもなく、若子とまつりは何となくマックに行き、前野進もマックで先に勉強していたりした。晴れた日も雨の降る日も、なんとなく一緒に勉強した。


流石にグループLINEは動かなかったし、まつりが前野進にLINEすることもなかった。けれど、進と3人でいることに当たり前な心地よさがある気がしてまつりは不思議だった。

若子も進も、きっとこのままゆっくり時が過ぎてあの日々が戻るのだと思っていた。

しかしそれは突然弾け飛んだ。

中間テスト最終日のことだった。
いつものようにマックに集まって、3人で話していたら。

「お前らまた付き合ってんの?」

知らない男の子達の中の1人がまつり達を見て言った。隣町の学校の制服を着ている。

「付き合ってないよ…ね?」
まつりは若子達を見て少し不安になった。若子は自分のことを人に全然話さないから、まつりも若子が前野進を今どう思っているのか、実際のところ知らなかったからである。

「誰もこの中で付き合ってないよ」

若子がはっきりとした通る声で答えた。

「え?何?知り合い?あなた誰?」

困惑するまつりをよそに若子は続けた。

「別にいいじゃん、付き合ってなくてもマック行くでしょ」

「あんだけの騒ぎ起こして、お前らよく普通の顔して元に戻れんだな」

呆れたようにいう1人の男子高生と若子の会話にまつりはさらに困惑した。

「どう言うこと?」

まつりが詳しく聞こうか迷った時、
 
「今のお前に何の関係があんの?」

と前野進が言った。

「関係ないな、ただちょっと驚いただけだよ」

そう言うと彼らは立ち去った。

まつりは、この会話の全てが分からなかった。