後野まつりは薄暗い海岸にいた。
裸足で少しひんやりした砂浜を歩く。足の甲にまとわりつく砂が滑らかで心地いい。
街灯の下、まつりの少し前を歩くまつりより背の大きな男のひと。
その背中に追いついて、イタズラを仕掛けたい。そんな欲求に駆られる。
走って、走って、
砂浜がまつりの足を少しずつ飲みこんでいく。
滑らかで心地よかった砂が
恐ろしいものに変わっていく。
「待って!」
前を行く男の人に向かって言う。
「置いていかないで!」
けれど、彼は止まらなかった。まるでまつりの声が全く聞こえないかのようだった。
「お願い、私を!忘れないで!!」
まつりはそう叫んでいた。
目を覚ますと、8時。
後野まつり高校一年生の4月にして大遅刻である。
裸足で少しひんやりした砂浜を歩く。足の甲にまとわりつく砂が滑らかで心地いい。
街灯の下、まつりの少し前を歩くまつりより背の大きな男のひと。
その背中に追いついて、イタズラを仕掛けたい。そんな欲求に駆られる。
走って、走って、
砂浜がまつりの足を少しずつ飲みこんでいく。
滑らかで心地よかった砂が
恐ろしいものに変わっていく。
「待って!」
前を行く男の人に向かって言う。
「置いていかないで!」
けれど、彼は止まらなかった。まるでまつりの声が全く聞こえないかのようだった。
「お願い、私を!忘れないで!!」
まつりはそう叫んでいた。
目を覚ますと、8時。
後野まつり高校一年生の4月にして大遅刻である。


