朝のことがあったからなのか、学校に着いてもどこかふわふわとしたままだった。
亜紀にも「今日どうした?」と心配そうに聞かれてしまったくらいだ。
お昼ご飯は、屋上で彼と食べたのを覚えているのだけど、話したことは完全に忘れてしまっている。
そんな感じで1日を通してぼーっとしていたので、気がついたらもう帰りの時間になっていたのだ。
「きりーつ、礼。さようならー」
当番のかけ声で、だらだらとした挨拶を返しながら廊下に人が殺到した。
今日は部活もなく、全校が早い時間で下校できることもあり廊下は人であふれていた。
「亜紀、今日はどうする?」
「あっ、ごめん、今日は塾があるから違う道から帰る~」
「オッケー、頑張って」
最近、私の周りでも塾に行く人が多くなった。
数か月前までは友達の中でも数人だったのだけど、やっぱりこれからの成績に不安があるようで塾に行き始めた子が多い。
私も今日あるのだけど、18時からのコースなのでこれから家に帰っても十分間に合うのだ。
久しぶりに図書館で暇つぶししようかな……。
机の中に入れっぱなしの本を見て呟く。
この場合の図書館、とは学校の図書館のことである。
下校時間になっても、そこから1時間くらいは学校の敷地内にいてもいいので、受験生は図書館に居残って勉強する人が多い。
この後の時間はお母さんからも何も頼まれていないし、塾の宿題は終わっている。
机の中の本をもって、図書館の方へと向かった。
