「今日の夜、公園来て」
 「え?」

 週の終わり、金曜日。

 帰りの会が終わり、みんな疲れ切った顔をしながら各々教室を出ていく。

 それを見て、私もいつも通り亜紀と一緒に帰ろうと教室を出た時だった。
 うしろから鷹野くんに引き留められ手立ち止まると、彼が一言そう言ってきた。
 いきなり何を言われたのかと、驚いて彼を見る。

 夜に公園って、いったい何をしようとして……。

 「夕方5時ごろ、公園集まれる?」
 「え?」

 週の終わり、金曜日。

 帰りの会が終わり、みんな疲れ切った顔をしながら各々教室を出ていく。

 それを見て、私もいつも通り亜紀と一緒に帰ろうと教室を出た時だった。
 うしろから鷹野くんに引き留められて立ち止まると、彼が一言そう言ってきた。
 いきなり何を言われたのかと、驚いて彼を見る。

 「自由課題あるだろ。あれ、冬の星座とか神話とか調べようかなって」

 ああ、とうなずいて思い出した。
 数日前に配られた、自由課題の宿題。
 期間は12月のもう少し後だったと思うけど、私も何にしようか悩んでいたところだったのだ。

 亜紀と一緒にやれればいいと思っていたけど、違う友達と、冬の気象や気候変動についてまとめるらしく、一緒にはできなかった。

 「だから、実際に天体観測しようと思って」
 「そ、そっか」

 彼が真剣な目でこっちを見ながら言ったので、私は狼狽えながら頭を回転させる。
 星座や神話……うん、面白そうだ。
 もともと空を見るのは好きだし、夕方5時、6時くらいまでの外出ならきっと親にも許してもらえるだろう。

 「来れる?」

 もう一度そう聞いてきた鷹野くんに、「うん」とうなずく。

 すると彼は、「じゃあ、そういうことで」と持ち物も何も言われずに一人で帰ってしまった。
 追いかけようと思ったけど、廊下は人だかりができているし……。

 とりあえず持ち物は……スマホと、筆箱とメモ帳くらいかな。

 いきなりのことで彼に流されてしまったけど、冷静になってからもう一度考えるとかなり緊張してきた。
 今日はお母さんが休みの日だ。
 お父さんも今日は早く帰ってくると言っていたっけ。

 反対されるかな。うん、されそうだ。
 さすがに夕方暗くなる時間に二人というのはまずいだろうか。

 どう許可をもらおうか考えながら、私は昇降口で待っている亜紀のもとへ向かった。