私の説明を聞くまでもなく、即答だった。適当に、とそれだけ。
 私の中では絶対に「班長」とくるか、「記録係」とくるか、その2択だったというのに。
 彼の態度を見るに、私のことを考えているというよりは、ただ単に、決めることがめんどくさいんだと思う。
 私がぼーっとしていると、彼が少しいらだったような声色でもう一度言う。

 「聞こえなかったのか、お前が適当に決めとけって言ってんだろ」
 「で、でも私もどっちでもいいんだ。ちょっとでもやりたいっていうのはあるでしょ?」

 そう聞くと、あからさまにめんどくさそうな顔をした鷹野くんは、チッと大きく舌打ちした。

 「お前がやりたい係やって、残った係を俺がやればいいだけの話じゃねぇのか」

 うん、とうなずいて続きの言葉を待つ。

 「もともと途中で出ていってまともに参加しなかったやつがのこのこ『この係がいいな』なんて言えるか。バカだろ」
 「『バカ』」
 「そうだ、お前バカすぎだろ。呆れるくらいな」

 バカと言われて少しむくれる。まぁそうなのかもしれないけど、この人にだけは言われたくない。
 しかし、まぁたしかに、と思ってしまった。まともに参加しなかった人を、自分より優先させるのは、さすがに甘いんだろうか。
 でも、これで私に先に選べと言われたら、きっと私はできない。いろいろ考えて、結局鷹野くんに先に選ばせてしまう。

 そこで名案を思いついた。ポン、と手を打って「あのさ」と呟く。

 「くじで決めよう、くじ」

 そういったら、彼はとんでもないものを見たかのように、「やっぱバカすぎだろ」と呟いた。


 いつも不機嫌そうに顔をしかめている鷹野くんが。

 ――心なしか年相応の『男子高校生』に見えたのは私の見間違いなのだろうか……?