(な、なんだ!?)

「貴様ら! 動くな!!」

 エイジ達が到着すると、そこには馬に乗った50人ほどの騎馬兵達、そして数人の幼い少年・少女を囲んでいる甲冑姿の兵士達がいた。
 だが少年や少女は手足を縛られているどころか、両足首には鉄球が付けられており逃げられないようにされていた。どうひいき目に見ても誘拐、もしくは拉致である。

「何をやってるんだ?」

「誰だ貴様は!? よそ者が口を出すな!」

「どうやら言語や会話によるコミュニケーションは可能のようですね」

 しかしリリムのアドバイスを他所に、エイジの中で“スイッチ”が入る。自分もこうしてアイランドに連れてこられたからだ。

「10秒だけ待ってやる。その子らを置いてさっさと失せろ」

 指をバキバキと鳴らしながら、エイジは騎馬兵たちを威嚇する。

「貴様ぁ! 我々に歯向かう気か!?」

 騎馬兵の一人が剣を抜こうとするが、その肘から先が逆方向に曲がっている。

「ぐあぁあ!」

 エイジは文字通りの目にも留まらぬ速さで男の腕を掴み、肘打ちで逆方向にへし折ったのだ。
 そしてそのまま続けて次の男に狙いを定める。だが───

「くたばれぇえ!!」

 一人がやられても他の兵士がいると言わんばかりに、馬上から槍を持ってエイジに向けて突撃する。

「挟み撃ちにして死角からの攻撃か。少しは頭を使うじゃないか」

 しかしエイジは騎馬兵の槍を難なくかわし、片手で掴んだ。

「な!?」

「ふんっ!」

 驚く騎馬兵に構わず、エイジはそのまま馬から引きずり下ろす。
 そしてそのまま兵士の頭を鷲掴みにして持ち上げた。

「ぐああ! は、離せ!!」

「離してあげましょう、エイジ。あなたならそのまま頭部を握りつぶしかねません。それにこの連中から情報を聞き出すのも、悪い選択ではないでしょう」

 リリムの助言と共に、エイジは掴んでいた兵士の頭を離した。

「けほっ! げほっ!」

 その場に崩れ落ちる兵士。

「お前に幾つか質問がある。正直に答えろ」