「あ、はい…。中学の頃ですけど」

「やっぱり。シャトルの扱い方が俺らと全然違かったもん」

「いや、そんなことないですよ…!」


たとえお世辞だったとしても他の誰からでもない先輩から褒められて、嬉しくて思わず顔がにやけてしまいそうになる。


「…あ、やば。駅前の本屋寄りたかったのにもう閉まる時間かー…」

「本屋ですか?」

「うん。今日新刊が発売された“マジ恋”が買いたかったんだけどもう無理そう」

「え!?“マジ恋”知ってるんですか!?私も大好きです!本当は今日も真っ直ぐ本屋寄って帰ろうと思ってたんですよ。前回当て馬男子が告白をしたっていうすごく気になる展開で終わったから絶対に発売日に買って十回は見よう!ってずっと楽しみにしてて!あ、私の最寄りの本屋でしたら午後十一時まで開いて…」


ぽかんと呆気に取られている先輩にようやく我に返り、暴走してしまったことが恥ずかしくて顔が熱くなる。


「ご、ごめんなさい…!好きなことになると我を忘れちゃう癖があって…」


普段本当に言いたいことは呑み込み相手からどう思われるかを気にしてあまり喋れない私は、好きなものの話をする時は驚くくらい饒舌になってしまうのだ。

そのせいで何回か引かれたこともあり最近は気をつけていたのに、よりによって先輩の前で…。


「…ふっ、あはは!」