出会いをやり直すことなんてできないから。

快斗の特別になれることなんて最初から無理だったんだ。


だから、どんな手を使ってでも振り向かせようと私は必死だった。

それが、弟と付き合ってる私に嫉妬してほしいという最低な考えだったとしても、できることはなんでもやった。

だけど私はいつしか、快斗を振り向かせることよりも輝星と一緒にいることの方が大切になってきていた。

私の気持ちを知っていて自分のためでもあるけどこの関係を続けてくれて、一番の味方でそばにいてくれて。

そんな輝星にだんだんと惹かれていた。


しかし、自分の気持ちにやっと気づいた頃には、輝星にも大切な子ができてしまっていた。


「宮本さん、自転車来るからこっち歩いて」

「あ、ありがとうございます…」


赤い顔でお礼を言う凛花ちゃんを優しく見つめる輝星は、幼なじみとして一緒にいても付き合ってからも一度も見たことがない顔をしていた。

私が向けられたことのない熱がこもった視線を、輝星は無意識にずっと凛花ちゃんに向けていた。


愛情を向けられているカノジョでもないのに醜く牽制なんてして、凛花ちゃんに好きじゃないと嘘までつかせてしまった。

だけど凛花ちゃんが輝星を好きじゃないと嘘をついた時に、ああこの子には敵わないなとそう思ったんだ。