「…朱莉、大丈夫…?」


クラスメイトたちが心配そうに私を伺っていた。


「…うん!大丈夫!だって元々、お互い好きじゃなかったけど付き合ってただけだから。私は本当に好きだった人を振り向かせたくて、輝星は優しいからみんなの期待に応えようとして、付き合ってたの。だから今更別れたところでなんとも…」


じわりと視界が歪み、机の上にいくつもの涙がこぼれ落ちた。


いつからだろう。快斗を好きになったのは。

中二になってからぐんっと背が伸びて大人っぽくなった快斗にドキドキするようになって、一番近い存在で家族みたいだと思っていたけど、触れられて名前を呼ばれるだけで胸が苦しくなって。

これを恋と呼ぶようになったのは、自覚してからすぐのことだった。


快斗は頭はいいくせに恋愛となると鈍くてバカだったから、私の気持ちには全然気づいてくれなかった。

バレンタインは気合を入れまくったチョコを渡しても、二人で出かける口実を作ってオシャレして行っても、快斗は私のことを妹としてしか見てくれなかった。


それが、悔しかった。

幼なじみは一番近くて、一番遠い存在だということを突きつけられている気がして、悔しかった。