凛花と会わなくなってから二週間が経った。

俺の日常は、凛花と出会う前のつまらない元の日常に戻っていた。


「…はあ?せっかく映画のチケットわざわざあげたのに、なんでなにもなかったわけ?」

「…え?」


目の前で惣菜パンを食べていた朱莉が、ドンっと勢いよく机を拳で叩いてきた。


「あのさ、二人ともいい加減にしてよ。好きなのバレバレだっつーの。私が嘘に気づかないとでも思ってる?舐めないでよ。私だって好きな人がいるんだから!好きな人を想う目くらい見ててわかるって言ってんの!」


頰を叩かれた気分だった。

朱莉はずっと気づいてて、それでも俺が傷つかないようにこの偽りの関係を続けてくれていたんだ。


「輝星の一番大切なものはなに!?失ってから気づいたって遅いんだから!」

「…ごめん。俺、本当に好きな子ができたんだ。朱莉とはもう付き合えない」

「…バカ。最初からそう言えばよかったんだよ」


気づいたら、教室を飛び出して廊下を走っていた。


誰になんて言われようが関係ない。

俺が一番大切で守りたいのは、ただ一人だけだから…。