朱莉と知り合ってからの凛花は確実によそよそしくなった。

初めて朱莉と会ってご飯まで行くことになった時には、気を遣っていることが見ていてわかったし、不安に思っていることが伝わってきた。

そんな凛花に俺は何も言えず、ただ手を握ることしかできなかった。

凛花が言っていたようにダメだとわかってはいるけど、それでも凛花の手を離すことなんてもっとできなかった。


「私、もう先輩とは会いません。最初からこうするべきでした」


凛花にそう言われた時、頭を殴られたような衝撃とついにこの時が来てしまったんだと冷静に考える自分がいた。

わかっていた。

こんな幸せが長くは続かないこと。

それでも俺は凛花に、朱莉に甘えて最低なことをずっと続けてきた。

もう少しなら大丈夫だと、そう信じて。


その結果、凛花に自分から言わせてしまうほど追い詰めて傷つけて苦しめた。

そんな俺に言い返す資格なんてなかった。


「輝星さ、最近凛花ちゃんと会ってる?」

「…え?会ってないけど…」