「よろしくね、凛花」


そしてその日から、俺と凛花の秘密の関係が始まった。


「なんだ、俺に会いに来てくれたのかと思ったけど、違ったんだ」


凛花は耳を押さえながら真っ赤な顔をしてきっと俺を睨みつけてきた。

からかえばからかうほど可愛い反応をしてくる凛花に、俺はとっくに沼に堕ちていた。

もっと色んな顔の凛花が見たいとそう思っていた。


「…私はカノジョがいるような人を好きにはなれないよ」


だからその言葉に少し傷ついている自分がいることに、あまり驚きはしなかった。


「…ごめん。俺、このあとはカノジョと一緒に帰るから。教室で待たせてるからもう行くね」


“委員会終わって今教室にいるんだけど輝星まだ学校いる?一緒に帰ろー”

凛花に背を向けて、何気ないメッセージに苛立っていることを感じさせないように足早に立ち去る。

俺はいまだに朱莉を突き放すこともできないでいた。

お互いに恋愛感情がなかったからと言って、付き合おうと最終的に言ったのは俺だし別れたら周りからどんなことを噂されるか想像しなくてもわかる。

凛花に惹かれているとわかっても、俺は自分が傷つくのが怖くて結局朱莉と別れることすらできないんだ。