「カノジョがいる人がそういうのを他の女の子に言うなんてどうかと思います…！」


だから凛花にそう言われるまで、すっかり自分が朱莉の存在を忘れていたことにハッと我に返って気づく。


「…そうだよね。ごめん。思ったことそのまま言うの俺の悪い癖なんだ」


凛花が欲しそうな言葉だから言ったんじゃなくて、本当にそう思ったことが自然と口から出ていた。

作った俺じゃなくて本当の俺で誰かと初対面で話したのなんて、いつぶりだろう…。


「…先輩」


ふと凛花に腕を引かれ、柔らかい唇を重ねられた。


「…え？」

「先輩が、好きです…。二番でもいいから、私を見てください…」


凛花は真っ赤な顔で、第一印象からは想像もつかないような告白をしてきた。


「私と浮気してください」


その一言で、俺の息苦しくて退屈だった日常がなんとなく変わるような、そんな予感がした。

気づいたら、俺は凛花を引き寄せて唇を重ねていた。