先輩のカノジョ

「だって見てて切なくて、そりゃヒロインはヒーローと結ばれることはわかってるけど、それでもつい応援しちゃうというか…」


一番の理由は、当て馬というポジションにどこか自分を重ねて見てしまうからだ。

好きな人の一番にはなれないけど、それでも特別になりたくて必死に足掻いて目に映ろうと頑張って。

それでも結ばれないのが当て馬の悲しい決まった結末。


「凛花?どうかした?」

「…あ、いえ。なんでもないです」


ハッと我に返り、慌てて笑顔を作る。


「このあとどうしようか。ご飯でも食べに行く?」


先輩は優しい。優しすぎる。

今だって学校からそんなに離れていない駅前の映画館だというのに、学校の人に見られるかもしれないけどご飯に誘ってくれているんだから。

先輩は自分から私を突き放すようなことは絶対に言わない。

それが先輩なりの私に対する優しさなんだと私はずっと前から気づいていた。


「…輝星先輩」

「ん?」