先輩のカノジョ

後ろからポップコーンを持ったカップルが歩いてきて、通行の邪魔になることに気づきとりあえず席に座る。


「…すごい偶然だね。なんか、デートしてるみたい」


そんなことを先輩が言ってくるものだから、かっと頰が熱くなる。


「たまたま、ですけどね」

「うん。たまたま。それとも運命ってやつ?」


意地悪く笑ってくる先輩に、胸がキュッと苦しくなるけど「変なこと言わないでください」と笑って誤魔化す。

先輩と偶然でも放課後に会えて、デートのようなシチュエーションになって、これ以上の幸せなハプニングなんてない。


好きな人の隣で好きな漫画の実写化映画を観れるというこの状況を噛み締めるようにして、スクリーンを一生懸命見つめた。



「実写化もよかったね。再現度が高いし、観ててまた違った楽しさがあった」

「ですね!当て馬男子が振られるシーンも切なくて泣きそうでした」


先輩とやりたいと思っていた映画を観終わった後のこの感想タイム。

幸せすぎる…。


「前から思ってたけど凛花ってヒーローよりも当て馬男子の方が好きだよね」