先輩のカノジョ



少し迷ったけどもらってしまった手前返しに行くこともできず、チケットを手に映画館に来ていた。

終礼が思ったよりも長引いてしまったせいで上映時間ギリギリになってしまったけど、なんとか間に合いそう。


チケットに書かれてあるスクリーン番号に従い、まだ明るい館内の中を歩きながら私の席を探して行く。


「あ、ここだ」


私の番号は真ん中の列の端っこですぐに見つけることができた。


「…え?凛花?」

「…へ?」


ふと顔を上げると、私の座席の隣にすでに腰掛けていた輝星先輩が驚いたように私を見上げていた。


「え、ええ!?なんでいるんですか?」

「それはこっちのセリフだよ…。え、席ここなの?」


好きな漫画が一緒だったらたまたま同じ日に映画を観に来たことはまだ納得できるが、席まで隣同士なんて奇跡あり得るのだろうか。


「私は朱莉さんからチケット一枚余ってるからってもらったんです…。まさか先輩の隣だったなんて…」