先輩のカノジョ

「あ、こ、こんにちは…」


正直、学校ですれ違っても話しかけてなんてくれないと思っていたから、こんなにフレンドリーに話しかけられて少し驚く。


「へぇ、凛花ちゃんの教室ここだったんだ?私が一年生の時と一緒だ」

「そ、そうなんですね…」


どうしよう。目が合わせられない。

どんな顔をして朱莉さんと話せばいいんだろう。


「あ、ごめんね。どこか行こうとしてたよね?引き止めちゃった」


気まずいと思っている私に気づいているのかいないのか、朱莉さんは去る気配をさりげなく出してくれた。


でも、ここで逃げていいのかな…。

モヤモヤとした気持ちでいるくらいなら、もう聞いてしまった方が早いのかも…。


「じゃあ私、もう行く…」

「あ、あの!」


被せるように声を出してしまったけど、負けじと朱莉さんを真っ直ぐ見上げる。