楽しそうに前で快斗さんと並んで歩いて笑っている朱莉さんの横顔をぼーと眺める。

私はこのまま、先輩とこの関係を続けていてもいいのかな…。


「…っ」


ふと、隣を歩いていた先輩に手を握られた。

思わず隣を見上げると、先輩は淡く微笑みながら私を見つめていた。

まるで全てを見透かしているかのように、優しく。


もしも今、朱莉さんか快斗さんが振り向いてきたら、大変なことになる。そんなのわかってる。

わかってるけど…。

先輩と繋いでいる手をそっと後ろに隠す。

私はまだ、この手を離すことはできないよ…。



駅に向かう前に朱莉さんおすすめのケーキ屋に寄ることになり、せっかくだから私も自分とお母さん、お父さんの分を購入しまだ迷っている三人の邪魔にならないように先に外で待つ。

空はピンクと紫が混ざりグラデーションになっている夕焼け空が広がっていて、その綺麗さに思わず見惚れてしまう。


「快斗と輝星はまだ悩んでるよー」


買い終わった朱莉さんが先に出てきて、ハッと我に返る。