先輩のカノジョ

添え物のコーンとグリンピースをちまちまと集めていると、ふと先輩が私に質問を振ってくれた。

きっと私の考えていることになんとなく気づいてくれたんだ…。


「私には幼なじみも兄妹もいないので、三人が羨ましいです。それに幼なじみ同士で付き合うなんて…少女漫画のヒロインとヒーローみたいでなおさら」


もし私が先輩と幼なじみとして出会えていたら…。

コソコソなんてしなくても堂々と先輩の名前を呼んで、好きだと伝えて、手を繋いで歩くことができたのかな。

好きな人のヒロインに、なれたのかな…。


「んーでも、幼なじみはどう頑張っても出会いをやり直すことはできないからさ。たまに幼なじみじゃなかったらよかったのにって思うことも結構あるよ。まあ何が言いたいのかって言うと、元からある環境でする恋愛よりも、誰と出会うか、何が起こるかわからない恋愛が待ってる方も楽しいんじゃないかなって思うんだ」


にこっと優しく朱莉さんに微笑まれ、泣いてしまいそうになる。

きっと朱莉さんは裏表なく優しい人で、そんな人だから存在自体が羨ましいと感じてしまうんだ。

私みたいに卑怯な手を使わなくたって、好きな人に無条件で見てもらい好きになってもらえる魅力があるから。

私は、こんな人を裏切ってまで先輩の隣にもう少しだけいたいとバカみたいに今も願ってしまう。



「はー食べた食べた。ねえ帰りにケーキ屋さん寄りたい。お母さんとお父さんにお土産」

「おいおい。それは俺の奢りじゃねぇからな?」