「あ、ねえ。君!」


テストが無事終了し、微妙な手応えを残したまま今日は午前授業で終わりさっさと帰ろうと校門をくぐると、そこで待っていた知らない茶髪のイケメンに声をかけられた。

制服が違うから、他校の人だろう。


「…へ?私…ですか?」

「そうそう。ねえ、中嶋輝星って知ってる?あいつ今どこいるかわかる?」

「え?輝星先輩ですか…?いや、私学年違うのでわからな…」

「じゃあ教室がどこか知ってる?俺、あいつに用があって来たんだけど、午前授業とか言ってたくせにもう三十分も待ってんだよー。待つの嫌いだしさっさと会いたいんだけど、どこにいるかすらわかんなくて」


随分と距離を詰めて話してくる茶髪イケメンに気圧され、思わずじりじりと後ずさる。

それにしても、この人なんだか誰かに似て…。


「ちょっと快斗(かいと)!なに女の子ナンパしてんの!」


突然茶髪イケメンの頭を叩いたきれいな黒髪ロングの女の人が、私を庇うようにして前に立ってきた。

顔が小さくて目が大きいどこかのモデルかと疑うほどの美しさを持つ女の人に、女の私でもドキドキしてしまう。


「あ、朱莉(あかり)!ちょうどいいところに。今この子に輝星の場所聞いてたんだよ」