そんなことを整った顔を間近でぼんやりと眺めながら考えていると、不意に近づいてきた先輩に軽くキスをされる。


「っ!?–––!」


驚いたあまりに机に思いっきり頭をぶつけてしまい、声にならない声が出る。

先輩はそんな私にまたもやクスクスと楽しそうに笑っている。


「何するんですか…!誰かに見られでもしたら…」

「大丈夫だよ。今ここには俺と凛花しかいないから」


するりとぶつけた頭に優しく手を伸ばしてきた先輩はそのまま私を引き寄せると、こつんとおでこをくっつけてきた。


「だから、もう一回する?」

「…っ。そんなの、聞かないでください…」


先輩の囁き声がくすぐったくて、触れられている部分が熱くて、もう私の頭は何も考えられなかった。

だから、近づいてくる唇にそっと目を閉じることしかできなかった。



それからは下校時刻が来るまで私は隣にいる先輩を意識して全然集中することができず、結局ノート一ページ分しか進まなかった。


「信じられない。人がいっぱいいる場所であんなこと…バレたくないのでもう二度としないでください!」